マーガレットライフ

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<<   作成日時 : 2007/09/20 23:46   >>

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続きました 


 カンピール師はひきずるような歩みで薬品棚の前まで行くと、大きな肘掛け椅子に身を沈めた。
 ニコラウスはその姿を目で追った。
 しみだらけの四角い顔は土気色になっていた。垂れたまぶたになかば覆われた灰色の目は猜疑と不安に濁っている。悄然と肩を落とし、首を前に垂らした拍子に臙脂のびろうどの帽子がずりさがり、禿げあがった頭があらわれた。
 顔にも手にも、師の皮膚にはまるで艶というものがないというのに、頭髪の抜けた頭だけはまるで乳児の肌のような桃色で、うすく油をぬったかのような光沢さえあるのだ。たえず頭脳を働かせているために全身の活力が頭部に集約され、よってここだけが若やいだままで、他の肉体の老化に拍車をかけているようにニコラウスには思えてならなかった。
「ジョン・グウェンドレンは犬殺しと呼ばれていた」
 カンピール師は口を開いた。そして手をあげて帽子をかぶりなおした。
 ニコラウスは師の禿頭をみつめすぎていたことに気づいて、とりつくりうように応えた。
「剣呑な徒名ですな」
「村中がそう呼んでいた。あれが十にもならぬ頃だ」カンピール師は記憶と向き合うように目を閉じた。「わたしは当時ボローニャで神学を修めていた。だが金が尽きて在学できなくなり、やむをえず休学して巡礼団に入った。これが巡礼とは名ばかりのいい加減な一団で、占いやまじないで小金を稼ぎながら、景気のいい後見の貴族を探している学生や傭兵崩れの集まりだった。だから聖人の御社よりも大きな街や城下をめぐり歩いて、わたしたちはイギリスにまで渡ったのだ。
 ロンドンに向かう途中に一泊した村で、わたしはひとりの男に声をかけられた。わたしは剃髪し、灰色の巡礼着をつけていたから、男はわたしをひとかどの巡礼僧だと思い違ったのだ。わたしはその勘違いにすぐに気づいたが、あえて僧侶らしく振舞い、男の言葉に耳を傾けた。
 男は言った。
 おれの息子には悪魔がついている、たすけてほしい、と」

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イルカ
さっそく読んだのですが、結構最初の方は読むのが辛かったです。 というのも途中までとても主人公の内側の物が強く出て来ていたので正直面白いような展開ではなかったのです。 悪く言えば自分への説教臭さ。 でも途中から「ああ、こうゆう感じだよ」って思うところに行き着きます。 だからどうかそのまま読み続けて下さい。 その後は面白い。 自身の経験というよりも、それを飛び越えた話に感じます。 ...続きを見る
よしもとばななを読む
2007/09/21 01:18

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